大事な友達の訃報を知ったのは、亡くなった半年後だった。
お線香をあげたいけれど、SNS以外で連絡を取れるのは年賀状に記された住所のみ。
ご家族には会ったことがない。
その時、友人である私たちがしたこととは。
訃報を知る
訃報を知ったのは年賀状の返事(寒中見舞い)友達のお父さんから届いたときだった。
8月に亡くなった旨が書かれていた。
突然のことに驚いて、親しかった友人たちに連絡した。
今になって悔やまれるが、高校時代に築いた関係は、それぞれ進学・就職・結婚などによって希薄になっていた。
居ても立っても居られなくて、詳細な情報を求めて数名の元クラスメイトにも連絡した。
冷静になって気付いたが、訃報はそんなに言いふらすものではなかったと、少し後悔した。
一人だけ、最近までよく会っていたという友人がいた。
最近連絡が取れなくなっていたらしい。
SNSでしか連絡を取っていなかったし、闘病中なのも知っていたから、落ち着いたら連絡が来るだろうと待っていたようだった。
手紙を出す
お線香だけでも上げさせてもらいたいと思った。
でも、今まで連絡をもらえてなかったのに、半年も経って数人で押し掛けるのはご迷惑か、とも思った。
だから、供物と供花を贈るだけに留めておこうか、と考えたりもした。
悩んだ挙句、お父さんに宛てて手紙を出した。
ネットで検索して文例を参考に、数名で弔問に伺いたい旨も付け加えた。
訪問が可能であれば日時を決めないといけないので、「ご連絡頂ければ幸いです。」と電話番号も添えた。
電話が掛かってくる
「仕事もしてなくて家にいるので、いつでもお焼香に来てください。」とお母さんから電話があった。
悲しい出来事についての話なのに、私たちにとっては喜ばしい内容の電話だったので、喜怒哀楽がおかしなことになってしまった。
さて、お線香を上げに行きたいのは5人。
幼稚園児から高校受験生までの子どもを持つ私たち。
さすがに日程を合わせるのが難しく、2人と3人に分かれることに。
電話を掛ける
まずは手紙を出して電話をもらった2人組から日時の確認で電話を掛ける。
次は紹介の形で、3人組から日時の電話を掛けるのだが、小さな事件が発生。
「ごめん、旧姓で紹介してしまった。」と2人組から連絡が入る。
ただでさえ、言葉選びを含めて緊張するのに、名前まで訂正しないといけないことに。
手紙の様に形式ばった言葉を使うのもおかしいので、ネットで言葉を検索。
友人が亡くなった時に、電話を掛ける相手がそのご両親。
しかも、半年も経っている。というシチュエーションは文例が少ない。
「突然のことに驚いております。お悔み申し上げます。」と電話を掛けたのだが。
初めての状況に緊張し、一方的にまくし立ててしまった。
持参するものの準備
ネットで検索すると、[友人:香典は五千円程度。供物は数千円~二万円程度。]となっていた。
高校時代の友達という間柄と、半年も経っているということもあり、ご両親に気を使わせない配慮も必要。
私たち3人は、香典:三千円・供物:三千円・供花:三千円、にした。
ちなみに、供物は故人が生前に好きだったものが良い。
亡くなった友達が好きなもので、日持ちがして、ご両親ももらって困らないもの。
一時、コーヒーにハマっていたことを思い出し、デパ地下で購入したコーヒーを持参することに。
服装は平服???
弔問時の服装をネット検索をすると、[平服で]となっている。
[平服=略喪服]黒っぽいワンピースやスーツ・アンサンブルとなっている。
でも、半年も経っていて、そんな暗い服を着て訪問するのもいかがなものか?
喪が明けているのだから、ご両親だって普段着で過ごされているはず。
お付き合い上手な義母に相談。
「派手でなければ大丈夫よ。ピンクや黄色だって、くすんだ色合いだったら問題ないわ。」
ということで、通勤時の服装に決定。
黒の長袖、パンツ、白タートルのベスト、白のスニーカー、ベージュの上着。
弔問する
まずは玄関でご挨拶。
当然ながら慣れないことなので、緊張しまくり。
「今日はお時間をいただき、ありがとうございます。」
すぐに遺影のある部屋へ通してもらい、まずはお線香を上げる。
そして、改めてご両親にご挨拶をし、お茶をいただきながら亡くなった友達について話をした。
私たちは本人との間柄を説明し、ご両親から亡くなった経緯を聞く。
「娘の友達関係にもすぐ連絡したかったけど、スマホはロックが掛かって触れなかった。」とのこと。
病状が急変したため、その辺の準備はしていなかったそう。
高校時代の話を少しし、最近まで会っていた友人がここ数年のことを話す。
ご両親の知らない姿を聞き、とても嬉しそうにされていた。
30分程度でおいとましたのだが、香典返しの意も含まれていると思われるお土産をいただいた。
お線香のあげ方
- 数珠を左手に持つ
- 座布団があったら横へずらす、もしくは座布団の手前に座る
- 仏壇の前に座って一礼
- ご遺族に一礼
- 遺影に一礼
- ろうそくから線香に火を付ける
- 香炉に線香を立てる
- 遺影に一礼
- ご遺族にお悔みを述べて一礼
インターネットサイトによって細かいところは違うが、基本的な流れは同じ。
慣れないことなのでぎこちなくなってしまうが、大事なのは故人と遺族への気持ち。
後悔とこれから
今回のことを通して、大事な友人の存在を改めて認識した。
年賀状という紙媒体が、きちんとお別れの場を与えてくれたことに感謝した。
だからこれからは、お互いに忙しくても、大事な友達とは1年に一度は会う努力をする。
面倒だけれども、年賀状など家族が交友関係を知れる物を残す。
この2つを年間行事に加えることにした。